ドローダウンの計算方法
ドローダウンは「累積リターンの過去最高値 (High Water Mark, HWM) からの下落率」として計算される。日次で更新される equity curve を E(t) とすると、HWM(t) = max(E(0), E(1), ..., E(t))、Drawdown(t) = (E(t) - HWM(t)) / HWM(t) × 100 (%) となる。ドローダウンは常にゼロ以下の値を取り、equity curve が過去最高値を更新するとゼロに戻る。最大ドローダウンはバックテスト期間中の min(Drawdown(t)) であり、その開始日 (ピーク) と底打ち日 (谷)、回復日 (再び HWM に到達した日) の 3 点を記録するのが実務的である。
最大ドローダウンの解釈と限界
MaxDD はバックテスト中に「少なくとも 1 回は起きた最悪の損失」であり、将来これを超えないという保証はない。むしろ、ライブ運用ではバックテストを超えるドローダウンが発生する前提で設計すべきである。目安として、想定 MaxDD の 1.5 倍をライブでの「破滅床」と見なし、撤退判断の閾値に据える設計が多い。また、MaxDD はその期間 (何日間沈んだか) も同等に重要である。-20% のドローダウンでも 2 週間で回復するものと 1 年間沈み続けるものでは精神的負担と資金効率がまったく異なる。
ドローダウンを抑制する設計アプローチ
ドローダウンを抑制する手段は大きく 3 つに分類できる。(1) ボラティリティ・ターゲットによるポジション縮小 (相場の荒れに応じて自動的にリスクを下げる)、(2) 通貨間分散 (相関の低い通貨ペアを組み合わせ、ポートフォリオレベルの MaxDD を個別ペアより浅く保つ)、(3) 戦略間分散 (トレンドフォロー + 平均回帰 + キャリーなど、異なるリターン源泉を併用する)。いずれも「DD そのものの発生を防ぐ」のではなく「DD の深さと長さを抑える」アプローチであり、DD ゼロを目指すのではなく、許容可能な水準に管理するのがシステムトレードの基本思想である。